home.social

#日本文学 — Public Fediverse posts

Live and recent posts from across the Fediverse tagged #日本文学, aggregated by home.social.

  1. 悠二郎は父が案外な手ぬかりをしているのを発見した。それはなにかというと、父は大事にするあまり、金魚どもの鰭や尾が伸びすぎているのに気がつかない、だからそいつらは鰭や尾が邪魔になって、満足に泳ぐことができないのである。――まるで赤ん坊が振袖でも着たように、躯をくねくねさせ、のたのたした草臥れたような恰好で、重たそうにやっとこさ泳ぐのである。悠二郎はそいつらが可哀そうになった。そこで鋏を持って来て、一尾ずつ捉まえて、その伸びすぎた鰭や尾をちょうどいいくらいに切ってやった。――そうして七尾めを切ってやっていたとき、団栗まなこの黒板権兵衛にみつかったのである【桑の木物語】

    #fedibird #日本文学

  2. 青みを帯びた皮の、まだ玉虫色に光っている、活きのいいみごとな秋鯵だった。皮をひき三枚におろして、塩で緊めて、そぎ身に作って、鉢に盛った上から針しょうがを散らして、酢をかけた。……見るまに肉がちりちりと縮んでゆくようだ、心ははずむように楽しい、つまには、青じそを刻もうか、それとも蓼酢を作ろうか、歌うような気持でそんなことを考えていると、店のほうから人のはなし声が聞えて来た。 【柳橋物語】

    #fedibird #日本文学

  3. 坊主が経を読んだって成仏するなんてことはない、死ねばみんな同じとこへゆくんだ、寺へ納める金があったら生きてるうちにうまい物でも食っておくほうがいいって【ばちあたり】

    #fedibird #日本文学

  4. 「妻も子もなく、親しい知人もないのだろう、木賃宿からはこびこまれたのだが、誰もみまいに来た者はないし、彼も黙ってなにも語らない、なにを訊いても答えないし、今日までいちども口をきいたことがないのだ」去定は溜息をついた、「この病気はひじょうな苦痛を伴うものだが、苦しいということさえ口にしなかった、息をひきとるまでおそらくなにも云わぬだろう、――男はこんなふうに死にたいものだ」【赤ひげ診療譚 駈込み訴え】新出去定

    #fedibird #日本文学

  5. 人間はみな、自分では気づかずに、蒙昧と無知を繰り返しているものです、もちろんわれわれだってそのなかまに漏れはしないと思いますね【栄花物語】

    #fedibird #日本文学

  6. 「一期のご合戦に先陣をのぞむのは誰しもおなじことだ、けれども誰かは留守城をあずからねばならぬ。先陣をつるぎの切尖とすれば本城のまもりは五躰といえよう、五躰のちからまったくしてはじめて切尖も充分にはたらくことができるのだ、たとえ先陣、留守の差はあっても、これを死處とする覚悟に二つはないぞ、わかるか信次」【死處】 夏目吉信

    #fedibird #日本文学

  7. 「——そのもとにはおちつく場所はない、そのもとに限らず、人間の一生はみなそうだ、ここにいると思ってもじつはそこにはいない、みんな自分のおちつく場所を捜しながら、一生遍歴をしてまわるだけだ」【虚空遍歴】賤ヶ岳の老爺

    #fedibird #日本文学

  8. 踏み削られ、形を変え、しだいに小さくなってゆく。それがここにあるこの岩の、どうにもならない運命だ。どんなにもがいてもその枠からぬけ出ることはできない。人間にも同じような運命からぬけ出ることができず、その存在を認められることもなく、働き疲れたうえ、誰にも知られずに死んでゆく者が少なくないだろう。【おごそかな渇き】

    #fedibird #日本文学

Share on Mastodon

Enter the server where you have an account.