「もう少しだけ、遠回りしていこうよ?」
和傘を傾けたミクが、こちらへ手を差し伸べる。
幾重にも重なる瓦屋根、その向こうにそびえる青い摩天楼。
雨ににじむ窓明かりをたどれば、まだ知らない景色に出会えそうだった。
傘を打つ雨音に、ふたりの足音が重なってゆく。
今夜は、雨がやむのを待たなくてもいい。
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